整形外科

整形外科
ドクターインタビュー

身体機能を扱う診療科で、患者さんのADLを改善することがやりがい
院長補佐/診療部長/主任部長 野村 真船

#01 幅広い専門分野をカバーする、整形外科チーム

当院の整形外科では、おもに骨、関節、筋肉、腱(けん)、神経などに生じる外傷、疾病や脊椎脊髄疾患を診療しています。
整形外科は疾患の数が多く、専門領域が治療部位によって細かく分かれます。脊椎、手、肩関節、股関節、膝関節、足といった運動器、さらにリウマチ、骨・軟部腫瘍など、専門の医師がそれぞれ治療にあたっています。
当科の年間の手術件数は、約1100件に及びます。診療体制としては、院長を含めた常勤医師が8名、非常勤医師が2名の、計10名のチームで日々の診療にあたっています。

#02 大腿骨骨折の放置は危険。緊急手術で対応

当科の最大の特色は、外傷患者さんの手術にあるといえます。当院は水戸市内で唯一の三次救急病院ですので、外傷や救急の患者さんが多く搬送されてきます。搬送患者さんの一定数は、けい椎、胸椎、腰椎の負傷で、その分野の外傷手術も積極的に行っています。
大腿骨骨折に対しては、ほとんどの症例を緊急手術で行っています。大腿骨とは、足の付け根(股関節)から膝までの太ももの骨のことをいい、歩行や体重を支える非常に需要な役割を担っています。
一般的にはあまり知られていませんが、高齢者の大腿骨骨折は放っておくと、死亡率が上がってしまうといわれています。速やかな治療が必要な疾患ですが、実は緊急手術を行っている病院は少ないのが現状です。 当院では、10年近く前から大腿骨骨折を原則、緊急手術で対応しており、患者さんの健康寿命の延伸に尽力してきました。

#03 あらゆる脊椎疾患が専門

私は、首から腰までのすべての脊椎疾患を専門としています。現在、年間で約300件の脊椎疾患手術に携わっており、300件のうち、1割程度は救急・外傷患者さんの手術です。
脊椎疾患の中でも、当院でとくに多くみられる疾患は、けい椎症性脊髄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭さく症の3つです。
けい椎症性脊髄症とは、加齢などにより椎間板の変性が進み、骨がとげ状に大きくなったり、じん帯が硬くなることで、脊髄が圧迫され、両手足の感覚のまひなどが生じる疾患です。高齢患者さんが多く、近年は70〜80代の方も増えています。
腰椎椎間板ヘルニアの患者さんでは、年齢層は少し若く、50代前後の方が多くみられます。背骨にある椎間板に負荷がかかり、椎間板内部にある髄核という組織が外に飛び出して、神経にぶつかった状態のことを指します。腰が痛み、下肢にしびれや痛みが放散したり、足に力が入りにくくなる症状があらわれます。
腰部脊柱管狭さく症は、脊髄の神経が通る「脊柱管」が狭くなる病気です。脊柱管にある神経が圧迫されて血流が悪くなり、腰や足の痛み、しびれなどの症状が起こります。50歳代から徐々に増え始め、60~70歳代に多くみられます。
私たちは、緊急の外傷の手術を「ホットサージェリー」と呼び、待機的な手術で、十分準備をしてから行うものを「コールドサージェリー」と呼んでいます。「コールドサージェリー」の主な症例が、前述した3つの疾患です。

#04 人工関節置換術は、タイミングと重症度を見極める

ケガや疾患によって傷んだり変形した関節を、人工のものに置き換える手術を「人工関節置換術」といいます。他の治療法と比べ痛みを取ることができるため、メリットが大きい手術ですが、身体への負担も大きい治療法です。できるだけ手術を回避する方針の病院も多い中、当院では慎重に患者さんを見極め、とくに重症な場合のみ手術を行っています。
この手術に用いられる人工関節は金属やプラスチックで作られており、耐久性は約15~20年といわれています。長い人生の中では、再度手術をして人工関節を入れかえる必要が出てきます。そのため、手術を行うタイミングを適切に見極めることが重要です。「このくらい悪くなったら手術を行う」といった明確な基準が無いため、検査結果や患者さんの訴えによって手術を行うか否かを決定しています。

#05 小児の関節鏡視下手術にも順応

当院の整形外科の特徴として、他にも小児に対する関節鏡視下手術があげられます。
関節鏡視下手術は、半月板や前十字じん帯(ACL)の損傷に対して有効で、当院では年間50件ほど施行しています。なかでも小児患者さんの治療は、隣の茨城県立こども病院と連携をとり、協同して手術を行っています。
こども病院から紹介を受け、小児患者さんの手術を当院で行うケースもあり、密に連携しながら治療にあたっています。

#05 関節リウマチの手術は減少傾向

当院で行っている主な手術や疾患についてお話ししましたが、一方で関節リウマチの手術は減少しています。
20年ほど前までは手術療法での治療が主流でしたが、バイオ製剤を用いたリウマチの内科的治療が広く普及したことにより、重症の患者数が減っているのです。これにより、手術を必要とせずに疾患を適切にコントロールすることが可能になりました。
また発症から手術になるまでの期間も、昔と比べ、長くなってきていることも報告されています。当院では関節リウマチによる手術を年間約10件程度行っていますが、その需要も減少傾向にあります。

#06 セカンドオピニオンのニーズにも対応

当院のセカンドオピニオン外来では、現実的にオピニオンだけを求めていらっしゃる患者さんは少ないです。多くの場合、既に別の医療機関でセカンドオピニオンを受けた後で、必要であれば手術を受けたいという意向で来院される方が大半です。つまり、セカンドオピニオンを求めて直接来院される方は限られており、実際には手術や治療を希望される方が主流となっています。
セカンドオピニオンのみを希望される方には、そのニーズに合わせた対応を行っています。また、治療を含めて全体的なアプローチが必要な場合は、セカンドオピニオンではなく、通常のご紹介の形で来院いただいています。 当科は現在、救急を除いた新患外来は、ご紹介の方のみとさせていただいておりますので、紹介状をお持ちになっていらしてください。

#07 地域の医療機関の先生方へ

通常の新患の方を原則お断りしている以上、紹介状を持っていらっしゃる患者さんには、より丁寧にしっかりと対応するべきだと考えております。地域の医療機関の先生方に対しては、紹介状を書いていただければ、当院で改めて患者さんの診察・問診を行い、対応させていだだきます。
当院は総合病院ですので、合併症を有している患者さんがご紹介でいらっしゃるケースも多くあります。他院では対応できないような、重篤な合併症を抱える患者さんでも、当院内科との連携で無事に手術を乗り切ることが可能になります。 患者さんが当院を受診希望された際には、気兼ねなくご紹介していだだければと思います。

#08 地域のために尽くす、という使命感

現院長の生澤医師とは同じ大学の出身で、私の先輩にあたります。約20年前、生澤医師に脊椎外科を専門にできる若手医師に来てほしいとお声かけいただき、当院に勤めることとなりました。
生澤医師とはもう30年以上の付き合いですが、ここまで長く当院で務めている理由の一つとして、生澤先生の人間性に惹かれたという点があります。同じ整形外科でも分野は違いますが、尊敬できる上司のもとで働けていることを嬉しく思っています。
私が医師を目指すようになったのは、中学生の頃に父ががんで亡くなったことがきっかけです。
当初はがんを扱うような診療科を選択しようと考えていましたが、整形外科という、身体機能を扱う中で患者さんのADLを改善することが、やりがいのある仕事だと今は感じています。
どの診療科でも言えることですが、困っている患者さんを救う、という基本的なスタンスを大切にしています。
私が水戸に来た当初は、県内で脊椎外科を専門としている医師がほとんどおりませんでした。当院で脊椎外科の手術を行うようになってからは、近隣地域だけでなく遠方からの患者さんも飛躍的に増えていき、「一度手術をした先生にまた診てもらいたい」と、患者さんに頼っていただけるようになりました。
この地域の人たちのために尽くさなければいけない、という思いで、これからも診療を続けていきます。
野村 真船 (のむら しんせん)
職名 院長補佐/診療部長/主任部長
出身大学(卒業年) 新潟大学(平成4年)
認定資格等

日本整形外科学会 整形外科専門医